2019年7月 園長のコラムより

 

 

 

         「触れてみる」「試す」          

                                       園長  加藤久幸

 

 梅雨もやがては明け、夏の青空がまぶしい季節を迎えます。

 

こども園では、3~5歳では、水遊びや土(泥)が始まっています。保護者の方には、着替えの洗濯などで、ご負担をかけています。しかし、水は、こどもにとって、不思議な、形のない「遊びの材質(おもちゃ)」です。水に、土や泥がまじりあうと、その「おもしろさ」は、さらに広がり、深まります。

 

しかし、どのこどもも、最初から、水遊びや泥遊びを始めるわけではありません。「汚れるから嫌」とか「外で(大胆に)遊ぶのは嫌」と、遠慮するこどももいます。各々のこどものペースを受けとめながら、夏でしか経験できない、様々な水との触れあい方を楽しんでいければと、思います。

 

ただ、水は危険と隣り合わせです。ご家庭のお風呂やプールで、本当に浅い水でも、溺れるということがあります。また、土や泥遊びをすると、雑菌などの影響も受けとめておく必要があります。大人の配慮ももちろんですが、この時期、こどもたちも、水分補給ととともに、手洗い・うがい・汗ふき・着替えなど、清潔にして気持ちよく過ごせるような生活を身につけていければと、思います。

 

活動的なのは、こどもたちだけでは、ありません。夏野菜の成長や、小さい虫たちも活発に活動を始めています。小さいこどもたちに人気があるのは、ありとダンゴムシだと思います。大人からすれば、そんなものを捕まえてと思うかもしれません。でも、動きのゆっくりなこどもたちにとっては、ありやダンゴムシは、ちょうどよい「お友だち」なのかもしれません(ありやダンゴムシには迷惑かもしれませんが…)。小さい生き物との触れ合いは、やがて、もっとたくさんの草花や木、昆虫や小動物への関心を広げていきます。この夏、いろんな出会いがありますように。

 

2019年4月 園長のコラムより

 

「  ありのままで 」

 

園長  加藤久幸

 

「入園・進級おめでとうございます。」一人ひとりの乳幼児たち、保護者の皆さまに、お祝いの言葉を贈ります。

 

私たちは、生まれる時、かけがえのない命と体、命を支える力であることばをもらいます。その人の命を示す名前・ことばももらいます。この命と体とことばは、もともと切り離せないものです。バラバラにしてはならないものなのです。本当でしょうか?

 

私たちの心臓の音も、その人が話す声も、一人ひとり皆違っています。赤ちゃんは、お腹の中にいた時からお母さんの心臓の鼓動や声を聞いていて、生まれた直後であっても、「あっ、この人だ」とわかるのだそうです。お母さんの胸に抱かれ、心の動きが伝わる声が聴こえていれば、赤ちゃんは安らぐことができます。ミルク(食べもの)をもらい、体も心も健やかに育っていくことができます。信じるという心の芽生えも、この時から始まります。赤ちゃんがすくすくと育ち、自分で歩けるようになり、もっと大きくなって活動の世界が広がっても、この命と体と声のことばの関わりは続きます。そして、その子どもが大人になっても、まわりの者が自分の声(心)のことばをかけるというのは、ますます大切になっていきます。

 

2019年度の園主題(合言葉)は、「ことばに満たされて~ひびきあう~」です。私たちは、入園・進級の時、愛(いと)おしい乳幼児に、様々な挨拶をします。その後の歩みにおいても、心と体に届くようにと願って、声をかけながら関わります。期待と不安の中にある乳幼児にとっては、保育者がいてもすぐには大丈夫とはならないでしょう。しかしながら、あなたの「ありのまま」でいいんだよという声(思い)と「雰囲気」に包まれて一人ひとりが動きだせるように、教職員一同誠実に仕えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

2018年6月 園長のコラムより

 

感じる

                                                       園長  加藤久幸

 

 園が参考にしている「キリスト教保育」6月号に、あるテレビ局の「ダーウィンが来た!~生き物新伝説」という番組を紹介しながら書いている原稿が、目に留まりました。この番組は、時間がある時には、私も興味深く楽しく見ている番組です。 

 

 生きのびることができる生物は、ただ単に、大きさでもなく、強さでもなく、「その置かれた環境の中で、その環境に適応し変化している」ことだと言われています。

 

 生物の進化というような大きなことを持ち出さなくとも、私たちの身近にも、変化に富み、環境に適応し変化しつづけている存在があります。子どもたちです。

 

自らの体も心も変わっていくことを経験しながら、これまた、未知の、変化する、環境の中で、変化・成長をし続けているのはないでしょうか。

 

 もしかしたら、大人は、自らの変化が乏しくなっていく中で、この激動の中を生きている若い方々に、向き合っているのだと云えます。このことは、昨今のアメフトの悪質タックルに端を発する問題や国会や行政を騒がせている様々な問題など、、変化する環境に対応できず自分の立場を固持している、硬直した大人の姿や組織の姿があらわになっているようにも思えます。これは他人事(たにんごと)ではなく、現実に対応できなければ、多くの混乱を引き起こし、やがては滅ぶのでしょう。

 

 冒頭の原稿は、6月の聖書の言葉「空の鳥をよく見なさい」について、書いています。そして、その原稿は、イエスさまは「ましてあなたがたを神さまは愛してくださる」と教えてくださったと、伝えています。人間は、弱い存在です。そうだからこそ、人間は、「共にいきること」とりわけ「小さな存在に目を向けること」と、「愛されて成長することができる」力によって、生き延びてきたように想います。

 

2017年7月 園長のコラムより

      気持ちよく             

                                                        園長  加藤久幸

  617日(土)、水海道教会と二葉こども園は、「復興感謝会」を行いました。20159月の関東・東北豪雨の水害被害から、この19カ月、励ましとご支援をいたただき、ありがとうございました。復興感謝会は、今回は教会関係者を中心に行いました。報告書は、字ばかりが多く読みづらいものになってしまいました。申し訳ありませんでした。全国の支援者への報告書送付は、710日(月)ごろを、予定しています。それをもちまして、私たち(園と教会)の復興事業の一区切りにする予定です。

 

  さて、6月の主題・合言葉は「気持ちよく」です。こどもたちが、雨の日も、晴れの日も、園庭や砂場、テラスや保育室、各々のお気に入りの場所で、思い思いに、「楽しい」「あー気持ちよい」と、遊びに夢中です。活動後の休憩も、みんなでの集団(クラス・学年)の活動も、安心したり、興味深く、取り組んでいます。

 

  気持ちのよいというのは、心も体も開放されて、いろいろな活動や様々な表現ができることでしょう。こどもたちが、今の日々も、今後の歩みにおいても、「気持ちよく」成長していってほしいと願って、二葉は昔も今も歩んでいます。建物等は変わりましたが、二葉が、常総市・県南地域において「気持ちのよい」園として成長していければと、願っています。もちろん、園の個性や限界もありますが、二葉の保育や歩みが、地域の中で小さな働き・貢献になればと願っています。

(毎月発行の園だより「のぞみ」から転載)

 

 

 

7月の園長のコラム

 

     「 心にとめて、探求

 

                    園長  加藤久幸    

 

 いつも、二葉の教育保育士が保育のために参考にしている「キリスト教保育」の7月号に、こんな文章が載っていました。「神さまの創られた自然とは、草花や虫だけではありません。人間、いのち、時間、星、月、太陽、空、空気、雲、雨、風、気温、湿度、微生物、色、形、みんな違ってみんないいものばかりです。同じ人間なのにみんな顔も違うし、感じていることや表現することも違います。…雨の降り方だって毎回同じではありません。小雨、春雨、五月雨、梅雨、にわか雨、狐の嫁入り、夕立、ゲリラ豪雨、日本には様々な雨を表す豊かな言葉・風土がありますね。全国の園の中には、広大な敷地、水辺や草木の生い茂る空間や農園を有する園がある一方、落ち葉や砂埃などの問題で園庭が人口芝の園や、屋上や隣接している公園を園庭としている園、また、放射能の数値を絶えずチェックしながら自然と触れ合う環境づくりに奮闘努力されている園もあります。…大切なのは量よりも質であると感じます。質の豊かさとは、保育者自身の環境とかかわる力(技術よりもむしろ感性)や、子どもにより沿う姿勢から膨らんでくるものだと思います。」

 

 全国の関わりのある園を思い浮かべながら、本当にそうだなあと思います。私たち保育者・保護者も、目の前のこどもたちが、何に興味をもち、どのように感じているかを、受け止められるといいですね。また、私たちの感性・心を豊かにし、こどもたちに私たちの感じていることを伝え、心のことばを表現できるといいですね。

 

6月の園長のコラム

感じて」「関心(を育む)    

園長 加藤久幸

 

 527日、オバマ米国大統領は、広島市平和記念公園を訪問・献花後に、所感を述べました。アメリカの大統領という立場での情勢判断や戦略もある中での、スピーチとして受けとめなければならないでしょう。しかし、オバマさんはアメリカの初めての黒人の大統領でもあり、広島に来ることも含めて、多くの不安や課がある中、初めてのことにチャレンジする彼の歩みや意義は大きいと、思いました。

 

彼は、原爆の犠牲者だけでなく、第2次世界大戦で亡くなった方の追悼について、述べました。また、「核兵器のない世界を追求する勇気をもたなければならない」とも、述べました。

 

いささか世界レベルのことを先に申しましたが、昨年の9月の水害以来、私たちは、直接の被害のあるなしに関わらず、自然災害や事故・紛争で苦しむ人たちを、いくらか感じるようになったのではないでしょうか。そして、私は、そういうことにも巻き込まれながらも、日々、各々の場で、小さな歩みや挑戦をしている子どもたちのことを、思いました。

 

こどもたちの今日が、そして、未来が、「核兵器のない世界」、「貧困・暴力のない世界」であることを、願います。そして、オバマさんが自らに言い聞かせたように、私たちも「勇気をもって」小さな一歩を歩み出しみましょう。そのように歩んでいる子どもたちの身近な歩みに気づきながら、平和を共に求めていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以下の項目は、順次、更新の予定です。

園長挨拶

 

ゆったりとした日々を積み重ねて、こどもたちは、


自ら(互いに)、健やかな体、豊かな心を、育みます。
自ら(互いに)、願いを表し、思いを伝えます。
自ら(互いに)、大事な言葉、表現を身につけていきます。 

 


こどもたちは、いつも夢を見て今日を生きています。
ご家庭を離れて踏み出す初めの一歩、こども園は、こどもにとって初めての社会(世の中)。
嬉しい時には一緒に喜び、悲しい時には一緒に泣く。
互いに触れ合う、大事な友だちに出会います。
どんな時でも、僕の夢、私の気持ちを受けとめ、見守り寄り添う者がいることを実感します。
心身安らぐ関わりにおいて、今日の日を生いっぱい生きる。
それは、何と幸いなことでしょう。


大切なのは、一緒に夢を見て、共に歩む仲間です。
幼い頃の幸いな共通体験は、体と心に深く刻まれ、ながく留まることになるでしょう。
子どもたちは、遥かに歩む人生のどの段階においても、希望や幸いを見いだし、

隣人と分かち合うことでしょう。
二葉こども園に関わる私たちも、夢をもっています。

    一つひとつの「ふたば」が、日々豊かに育つように。
    一つひとつの「ふたば」が、世の希望となるように。 

大事な「ふたば」を育てるご家庭と心通わせ、
私たちも、こどもと共に歩む、こどもの園でありたい。